狭山茶とは?
色は静岡、香りは宇治よ、味は狭山でとどめさす〜♪
という、お茶摘み歌を知っていますか?
これは、狭山茶を紹介するときには必ず出てくる、お茶を摘む時に歌われるお茶摘み歌です。
古くから歌われているようで、歌の出どころはわかりませんが、口から口へ歌い継がれてきたのです。
狭山茶は味で勝負しています!というのが伝わってきますね。
狭山茶には独特の製茶法があり、そのため、この歌にあるように、味に自信を持っているのです。
では、狭山茶にはどのような味の特徴があるのか、また狭山茶の歴史について、ご紹介していきましょう。
狭山茶の特徴は製茶法にあり?
狭山茶の特徴的な味を決める大きな要素は、その製茶法にあります。
狭山茶は、「狭山火入」という製茶法で作られています。
通常、お茶を作る時は、摘んだ後、蒸す→冷ます→揉む→乾かすという工程を経て、茶葉になります。
狭山火入は、乾かした後の茶葉にもう一度火を入れ乾燥させて仕上げる製法です。
火入の工程は3段階あり、盛り火→摺り火→抱き火と、和紙を温めながら、その上で手を使って火入れをしていきます。
和紙の上でこれを行うと、和紙にこすれることで茶葉の表面が滑らかになり、色味が増します。
また、この時、製茶の際には珍しいことですが、割と高めの温度で火入をします。
火入れを繰り返すことによって味に深みが増しますが、このタイミングを間違えたり、茶葉を焦がしてしまうと、お茶として終わってしまうので、職人さんの経験がものを言います。
これらの作業によって、狭山茶の持つ独特の濃い香りがつくのです。
味もまた他のお茶に比べると濃く、苦味を感じさせない、まるで甘栗かと思うほどの甘さを持つお茶です。
初めて狭山茶を飲む方は、きっとその甘さにびっくりされることと思います。
では、この製法がどのようにして生まれたのか、狭山茶の歴史をさかのぼってみましょう。
狭山茶の歴史は?日本三大茶には意外な事実があった!
狭山茶の歴史は鎌倉時代に始まったとされています。
川越に天台宗の本山「中院」というところがありますが、ここが狭山茶発祥の地と言われています。
実は、最初に書いた日本三大茶の一つである宇治茶の種を、慈覚大師という人物が「中院」のある川越に持ってきたことから、お茶の栽培が始まったとされています。
最初は川越(当時は河越)茶と呼ばれたりもしていましたが、時代とともに川越からお茶の栽培が広がっていき、やがて「狭山茶」と呼ばれるようになっていきました。
そして、江戸時代後半、この「火入」と呼ばれる製法が編み出され、現在まで続いています。
狭山茶保存会という会があり、この製法を守るための保存活動が行われています。
これだけの手間暇がかけられ、特徴的な味を持つ狭山茶なので、さぞ人気があるかと思われますよね?
しかし、実は日本三大茶と呼ばれていますが、その生産量は他よりも少なく、5位以内にも入っていないのが現状です。
なぜでしょう?
実は、その環境が問題なのです。
日本最大茶の生産地で見ると、狭山が最も北に位置しているのがわかります。
そのため、他よりも寒い気候で育ちます。
特に冬場は霜が降りることもあり、その中で育つ狭山茶の茶葉は、寒さに負けないようにしっかりと栄養分を蓄えるため、肉厚の茶葉となります。
肉厚な分、収穫量としては多いのでは?と思う方もいらっしゃると思いますが、実は狭山のお茶は年に2回しか摘めないのです。
他の地域では、番茶として、二番茶、三番茶と年に何回か摘んでいますが、この狭山では年に2回摘むのが限界です。
さらに、収穫したお茶の葉に2度火を入れることにより、水分を極限まで減らして甘みを引き出します。
そのため、同じ収穫量でもできあがるお茶の量は、他よりも少なくなります。
さらに言えば、通常は機械のみで終える製茶を、最後に人の手を加えることによって、お茶自体のコストが他よりも高いといえるでしょう。
このように、厳しい条件の中、狭山茶はそのこだわりと味を守りながら、日本三大茶といわれるまで生き残ってきているのです。
さぁ、これだけの魅力ある狭山茶、飲みたくなってきましたね!
早速、人気のある狭山茶をご紹介していきましょう。
狭山茶のおすすめ!2つの代表品種をご紹介します!
では、今回は狭山でしか取れない、狭山茶ならではのおすすめのお茶の品種を2種類、ご紹介します。
まずは、<さやまかおり>。
その名の通り、香りがとても豊かなことから、この名前がついたとされるお茶。
コーンにも似たような、甘い香りともいわれる一方で、フレッシュさも感じると言われています。
あの有名なやぶきたから作られた新しいお茶の一種類です。
味も濃く、甘みだけではなく、渋みが感じられるのも特徴。
しっかりとした味を残しながらも、喉越しは割とすっきりという、何杯でも飲みたくなる、後を引くお茶です。
次は、<さやまみどり>。
こちらは、さやまかおりと違い、歴史のある品種です。
埼玉県で一番最初にお茶として登録された、まさに狭山茶の元祖ともいえるお茶です。
実は見た目があまり冴えないと言われているのですが、このお茶、なんと火入れの方法によって味が変わるという特徴を持っているのです!
お茶を作る際、高温になるのは避けると最初の方に書きましたが、このお茶には通用しません。
温度を上げるほど、味も香りも際立ち、他のお茶とは一線を画します。
というと、とても特徴のあるお茶なんだろうと思いきや、それが逆に、昔懐かしいような、どこか安心するような味を感じさせるのです。
それは、畳に似た香りするからなのか、それとも少し渋みのある余韻を長く感じられるからなのか。
飲んでみて、ぜひあなたなりのお茶の感想を聞かせてくださいね。
では、狭山茶についてたくさんお伝えしましたので、最後におさらいをしましょう。
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狭山茶の特徴と歴史、おすすめ狭山茶のまとめ
では、最後にまとめです。
今回は狭山茶の特徴や歴史、おすすめのお茶の品種などについて、お伝えしました。
狭山茶は、「火入れ」というオリジナルの製法から、甘くて濃いお茶ができあがるということがわかりましたね。
北の産地として、厳しい環境の中、生き残り、日本三大茶とまでなってきたのです。
狭山で生まれたお茶として、さやまかおりとさやまみどりという品種をご紹介しました。
皆さんも、狭山の濃くて甘いお茶をぜひ一度、飲んでみてください。
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