一文字盆とは煎茶道に不可欠?
煎茶を楽しむときに使う「一文字盆」という道具があることをご存知ない方は多いのかも知れません。
「母の日に何が欲しい?」
・・・とたずねたとき「煎茶の一文字盆が欲しい」と、私も母から言われたことがあります。
もしかすると、煎茶を楽しむのにお盆がいるの?と驚かれた方もいるかも知れませんね。
実は、煎茶にも抹茶道と同じように「煎茶道」という茶道の一種があります。
その際に使用される細長いお盆のことを「一文字盆」と言います。
一文字盆のことを知ると、煎茶の楽しみ方にまた幅が広がりますよ。
では、さっそく「一文字盆」についてご説明しましょう。
一文字盆を使用する煎茶道とは?
煎茶の一文字盆は、煎茶道のときに使うことは前述しましたね。
では、一文字盆を使用する「煎茶道」とは、一体どんな作法なのでしょうか?
まず、煎茶が盛んになった時代ですが、江戸時代の中期頃と記録されています。
これは、抹茶文化が日本に定着してから約200年ほど経った頃のことです。
「抹茶道」と言えば、作法そのものがとても厳格というイメージを多くの方が持っていることでしょう。
しかし、煎茶道は、抹茶道とは考え方や作法がかなり違う茶道です。
煎茶道は、煎茶の香りや味わいを感じながら人との対話を楽しむことを目的とした茶道なのです。
お抹茶というと「作法を知らなくちゃまずい」と、肩に力が入る方も多いです。
ところが、煎茶道の場合、たとえ作法がよく分からなくても恥ずかしがる必要はありません。
- 抹茶道はフォーマル茶道
- 煎茶道はカジュアル茶道
そんな風なイメージを持っておかれると良いかも知れませんね。
煎茶道は、誰でも気軽に楽しめるとして、ここ数年、幅広い世代の女性たちを中心に注目を集めています。
一文字盆とは、そんな煎茶道において使用されるお盆なのです。
では、「一文字盆」の特徴や使い方をご紹介しましょう。
煎茶の一文字盆の特徴や使い方は?
煎茶で使う一文字盆とは、漢数字の「一」のように細長いかたちをしたお盆のことです。
主に、一文字盆は、煎茶を運ぶ際に使用される煎茶道具です。
お盆の大きさは、小さな煎茶のお茶碗がぴったり5つ並ぶ1尺2寸 (36cm)が基本とされています。
これは、私たち日本人の体格に対して、お盆の持ちやすさや見栄えを考慮して導き出された寸法とされています。
ただ、現代の日本人は昔よりも体格が大きくなっていますよね。
ですから、最近ではちょっぴり大きめの一文字盆を販売している煎茶道具店も増えてきました。
煎茶道では、お盆を使用した点前が一般的です。
なので、基本的には「手前盆 (前盆)」や「三器盆」などが必要となります。
ただし、お運びが必要な場合もあると思いますので、「一文字盆」も合わせて用意しておくことをオススメします。
煎茶道では様々な用途に合わせてお盆を使い分けます。
そのため、煎茶を楽しむ際にお盆が欲しい場合、その用途キチンと確認してから購入するのがポイントとなります。
もしも、お母様が「一文字盆が欲しい」と言われたのであれば、どんなシーンでも活躍できる木地仕上げの飴色に輝く美しい肥松盆を贈るのがオススメです。
もちろん、拭き漆が塗られたもの、黒漆や朱漆で仕上げられたものなども見栄えが良いです。
いろいろな煎茶道具店を巡って、素敵な一文字盆を見つけてみてはいかがでしょうか。