煎茶の一番茶と二番茶の違いとは?
「お客さんには二番茶ではなく一番茶を出すように」
・・・というのは、昔から煎茶を出す際によく聞く会話のような気がします。
ところで、この煎茶における一番茶と二番茶の違いをご存知ですか?
- 「一番茶は1番初めに急須から淹れた煎茶のことでしょう?」
- 「いやいや、一番茶や二番茶は茶葉のランクだよ」
そんな風に思っている方も多いと思います。
しかし、どちらの答えも正解ではありません。
ここでは、煎茶の一番茶、二番茶についてご説明します。
煎茶の一番茶、二番茶とは何の順番?
煎茶でよく聞く一番茶や二番茶というのは、何の数でしょうか?
実は、煎茶の一番茶、二番茶というのは、茶摘みを行った順番のことです。
その年の最初に生育した新芽を摘み取って作られた煎茶のことを「一番茶」、もしくは「新茶」と呼びます。
それ以降は、茶葉を摘み取った順番によって「二番茶」、「三番茶」などと呼ばれるんですね。
では、なぜ「新茶」のことを「一番茶」と呼ぶのでしょうか?
それは、新茶を摘み取った後に続く「二番茶」や「三番茶」と対比するために、そう呼ばれているんです。
「新茶」という表現は、1年で最初にチャノキから摘み取られた茶葉である「初物」という意味を込めています。
また、茶舗にて「旬」のものとして扱う際に用いられる言葉となんですね。
一番茶は、二番茶や三番茶よりも旨味や甘味が強いです。
そのため、一番茶で作られた煎茶や玉露は、最もおいしいと言われています。
しかし、「二番茶」や「三番茶」も、香りやおいしさは「一番茶」にやや劣りますが、淹れ方次第でおいしくすることができます。
煎茶の二番茶は、一番茶に劣るのか?
煎茶の二番茶とは、一番茶の収穫後から1ヶ月ほど待って収穫された茶葉のことです。
産地や茶園の立地条件などによって、収穫時期はやや異なります。
早いところで5月下旬、遅いところでは7月上旬から始まります。
一番茶が収穫された後、成長を開始した芽を摘み取って作られる二番茶は、一番茶が収穫される5〜6月は、気温が高まる関係で茶葉の生育が速くなります。
しかし、葉が硬化して芯芽が止まる状態になると、茶葉の主成分テアニン(アミノ酸)などの含有量が急激に減少し、粗繊維が増加して品質が低下します。
そのため、二番茶の収穫シーズンはわずか2週間と限られています。
実は、二番茶は、一番茶に比べてカテキンやカフェインの含有量が若干高いです。
ですから、生活習慣病の予防、ダイエット効果、虫歯予防、食中毒の予防など様々な効果や効能を期待することができます。
ただし、煎茶のエキスは水溶性ですので、一番茶に比べて繊維質の多い二番茶は煎茶のエキスが溶け出しにくくなります。
繊維質が多いほどお茶の味わいに深みが出ますので、苦味や渋味が苦手な方は、二番茶に飲みにくさを感じるかもしれません。
一番茶も二番茶も、高温のお湯で淹れることで渋味や苦味が出やすくなります。
そのため、旨味や甘味成分を豊富に含む一番茶は低めの温度で淹れ、しっかりと濃い味のお茶になる二番茶は、やや熱めのお湯で淹れるのが良いでしょう。
ちなみに、お客さんに出す煎茶は、お客さんの好みに合わせて決めるのがポイントです。
二番茶や三番茶よりも香りが良く、渋味も苦味も少ない一番茶はスッキリとした旨味を感じることができる最も品質の良い煎茶です。
ただし、渋味や苦味を好む方にとってはやや物足りなさを感じることもあるでしょう。
そんな一番茶、二番茶の持つ特徴を理解しつつ、お客様のお好みに合わせることが、お茶による真のおもてなしと言えるでしょう。