玉露とは、どんな日本茶ですか?
玉露という言葉は昔からよく聞きますが、意外と一般人にとっては身近ではないお茶なのかも知れませんね。
「お客様には玉露」という言葉だけの風潮は確かにあります。
しかし、実際のところ、お客様に玉露をお出ししている場面は、一般庶民はあまり目にはしていないと思います。
さて、一度は耳にしたことがある?玉露とは一体、どんなお茶なのでしょうか。
ここでは、玉露とはどんなお茶なのかについてご説明します。
玉露とは、高級日本茶の代名詞?
玉露とは一体どんな日本茶を指して言うのでしょうか?
きっと一般的には玉露とは高級茶、煎茶とは一味違うなどというイメージが思いつくことでしょう。
確かに、玉露というのは普通の煎茶より値段が高い分、同じ緑茶なのに全く別の味わいを感じられるお茶です。
では、同じお茶なのに玉露とは何故こんなにも違うのか?
実は、玉露とは煎茶や他のお茶と同じチャノキから作られますが、栽培方法から大きな違いがあるのです。
新芽が出ると、玉露用の茶葉は、覆いをして直射日光を当てずに育てていきます。
遮光期間は20日前後で、最初は70%位の遮光率で育てます。
その後、収穫間近になると90%以上は遮光するので、ほとんど日光を当てずに育てることになります。
これは、茶葉に直射日光が当たることで光合成を抑制し、苦味成分であるカテキンの生成を抑える働きがあります。
玉露用に摘み取られた茶葉はすぐに蒸され、これで酸化酵素の働きを止めていきます。
そのあとは、揉みながら乾燥させ、旨み成分を全体に行き渡らせていきます。
最初は荒く、徐々に丁寧に揉んでいき、最後にはよりを乾燥させて水分を飛ばしていくのです。
こうして出来上がったものを玉露の「荒茶」といいます。
さらに、荒茶を選別して余分な茎などを取り除き、大きさを揃えてやっと玉露は完成します。
玉露の日本茶としての魅力とは?
玉露の魅力とは、どんなところにあるのでしょうか?
玉露とは、直射日光を当てずに育てられるわけですが、カテキンの生成を抑制する以外にもう一つ効果があります。
それは、日本茶の旨味成分である「テアニン」が多く生成されることです。
そうやって出来あがった「苦味が少なく旨みの多い茶葉」を低温でゆっくりと浸出させて、玉露は作られていきます。
玉露の魅力とは、そんな旨味・まろ味・甘味という味わいが絶妙な日本茶だというところにあると言えます。
また、玉露が持つもう一つの魅力とは、遮光することによって香りにも変化があるところです。
海苔のような独特の香りが生まれ、これは「覆い香」と呼ばれており、玉露の魅力の一つとして重宝されます。
また、以前の玉露は名前の通り「玉のような形」をしていました。
それを現代のような棒状に変化させたのがお茶の老舗としてその名を知られる辻利の初代、辻利右衛門です。
彼の確立した「玉露製法」は玉露の歴史を変え、今も着々と引き継がれています。
玉露とは、そんな歴史背景の中から育まれて来た、とても奥の深い日本茶とも言えるでしょう。