玉露とかぶせ茶は、似て非なるお茶?
玉露とかぶせ茶との違いは何ですか?という質問をいただくことがあります。
玉露なら、まだ名前だけでも分かるけど、かぶせ茶ってナニ?という方もいらっしゃいますね。
たしかに、ただでさえ日本茶に付けられる名前は難しいと思われがちですので、かぶせ茶なんてさらに良く分からないという感じでしょう。
ここでは、玉露とかぶせ茶の違いについてご説明します。
玉露とかぶせ茶は、どこが違うのか?
玉露とかぶせ茶の違いは、一体どこにあるのでしょうか?
かぶせ茶は「冠茶」とも表記され、玉露と同じく新芽に覆いをかけて育てられます。
ここまでは、玉露もかぶせ茶も違いはないと言えるでしょう。
ただし、覆いをかける期間は、かぶせ茶の場合は収穫前の1週間前後です。
玉露の覆いをかける期間は20日前後ですので、それと比べるとだいぶ短い印象があります。
また、覆いのかけ方にも、玉露とかぶせ茶では違いがあります。
玉露はお、茶の木の上部に屋根のような形で覆いを設置します。
一方、かぶせ茶は茶葉に触れるような形で直接、覆いを被せていくのです。
遮光率は50%前後が一般的で、こちらも玉露が70%から90%の遮光率になることと比べると低くなっています。
この結果、かぶせ茶の色合いは玉露と同じく濃い緑色が感じられ、渋みも少なく煎茶と比べると旨みが多い特徴がみられます。
しかし、覆い香は感じられるものの、甘味や旨みは玉露には匹敵しません。
そのため、かぶせ茶は値段も玉露よりは安価で、比較的手に入りやすい価格で売られていることが多くなります。
玉露とかぶせ茶は淹れ方にも違いあり?
玉露とかぶせ茶の違いですが、実は淹れ方にも違いがあることをご存知でしょうか?
まず、玉露は旨みや甘みが強い贅沢なお茶ではありますが、その分、手間がかかり製造量も限られてしまいます。
そこで、遮光期間を短くし、製造量を増やしたのが「かぶせ茶」というわけです。
かぶせ茶は、苦味が少なく、旨みや甘みもあるという煎茶と玉露の中間の味わいと言われるのは、そのためでしょうか。
そんな「かぶせ茶」は淹れ方によっても味わいが変わる、面白いお茶です。
たとえば、苦味を主体として味わいたい時にはお湯の温度は80℃くらい、抽出時間は短めで作ってください。
そうすると、煎茶に近い味わいを楽しめることでしょう。
また、甘味や旨みを主体として味わいたい時にはお湯の温度は60℃くらい、抽出時間は長めで作ってください。
こちらは、玉露に近い味わいを楽しめます。
茶葉の量、お湯の量はどちらの場合も同じ比率で構いません。
その日の気分によって違う味わいを楽しめる、これがかぶせ茶の最大の魅力といえるのではないでしょうか。