濃茶の練り方や作法って知ってますか?

濃茶

 

薄茶、濃茶と聞いて、なんのことかわかりますか?

 

薄いお茶と濃いお茶、、、淹れ方が違うのかしら。

 

 

ご名答!

 

茶道で使われるこの言葉、薄茶、濃茶はお茶の淹れ方が全く違うんです。

 

 

濃茶と聞くと、濃そう、と思いますが、結構想像を超える濃さです。

 

急須にお茶の葉、入れすぎちゃった、レベルではありません!

 

それこそ、濃茶の練り方と言うほどですから、トロンととろみをつけたの?と思うくらいです。

 

 

濃茶は、茶道をやってる方なら飲んだことがあるかと思いますが、まだ飲んだことのない方、未体験ゾーンへご案内しましょう。

濃茶とは?一般的にはあまり知られていない?

濃茶とは?

 

濃茶は、こいちゃと読みます。

 

茶道で飲まれるのが一般的で、日常生活で口にすることは滅多にないと思います。

 

 

茶道体験などは、ホテルや庭園の茶室などで行っているところがあります。

 

しかし、そこでも濃茶の体験をやっているところは少ないでしょう。

 

 

一般的に体験できるのは、薄茶という、お菓子とお抹茶が一緒になって、京都などのお寺でよく提供されているものです。

 

あのセットを、京都の趣のあるお寺で食べるだけで、気分が違いますよね。

 

 

でも、濃茶は薄茶よりも少し格式があるというか、正式なものなので、薄茶のように一般にはなかなか広まっていないんです。

 

 

それに、濃茶って、薄茶の5倍くらい濃いんですよ!

 

 

私は裏千家で習っていたのですが、初心者の頃に「濃茶飲む?」と聞かれたんです。

 

そして「濃茶って何?」なんて興味津々で、飲んでみます!と言ったが最後。。。

 

お茶椀が回ってきたときの衝撃、なかなかに破壊的なものでした(笑)

 

 

飲んだ後、お歯黒ならぬ、お歯緑!になるくらいのレベルです。

 

 

しかし、最初は「濃い!苦い!」と思ってたのですが、幾度となく口にするとそのうち濃茶の持つ深い味わいに気づきます。

 

 

もちろん、苦味がガツン!とは来ますよ。

 

でも、後味に甘みを感じるようになったり、まろやかな苦味・甘みを感じるようになったり。

 

 

濃茶も色々な種類(地域やお茶屋さんによって、味が変わります。)があるので、そのお茶によって変わる味わいも、楽しめるようになっていきます。

 

それがまた楽しくなったりするんですよ。

 

 

怖いもの見たさで、ちょっと飲んでみたいと思いませんか?

 

どんな風に濃茶を淹れるのか、一緒に見てみましょう。

 

濃茶の練り方!抹茶の量や湯量はどうすればイイ?

濃茶の練り方

 

薄茶の5倍も濃いお茶。

 

どれくらい抹茶の量を入れたらいいんだろう・・・・と迷いますよね。

 

 

私も最初は、入れすぎなんじゃないかな?と怖くて、なかなか本物の濃茶のように仕上げることができませんでした。

 

 

薄茶×5杯が1人分。

 

なので「多すぎるんじゃない?」と思うくらい入れないと、これぞ濃茶!というお茶にはならないんです。

 

 

あ、そうそう、濃茶の練り方!と書きましたが、濃茶は練る、という言い方をします。

 

だって、薄茶の時のように、茶筅をしゃかしゃか振る、なんてとてもできない濃さですから。

 

 

そして、お湯の量。

 

これも間違えると悲惨です。涙。

 

 

少なすぎると粉っぽくなり、多すぎるとさらさらになってしまい、せっかくのお抹茶がもったいないことに・・・。

 

なので、お湯は2回注ぐことができるようになっています。

 

 

1回目は少し少な目に、でも粉全部がきちんとお湯とまとまるように、慎重にお湯を足していきます。

 

濃茶のお湯

 

茶筅で粉を沈めるように上から少しずつ、お湯となじませていき、なじんできたら“り”の字を書くように茶筅を使います。

 

 

すると、なんということでしょう!

 

茶筅を動かすごとに、抹茶につやが出てきます。

 

このつやをきれいに出せるようになれば、濃茶の達人です!

 

 

そして、充分につやが出たところで、2回目のお湯を足します。

 

つやが出て、おいしそうな濃茶に仕上げる最後の段階なので、気を抜かずに、お湯の量を調整します。

 

 

茶筅をお茶椀から上げる時に、茶筅の先に適度にお濃茶がついていたら合格です!

 

 

ダマがついてしまったり、逆に全然つかない…そんな時は修行あるのみ!です。

 

 

では、おいしく濃茶が練りあがったとして、次はお客様になって濃茶をいただいてみましょう。

 

濃茶の作法!お点前で注意するポイントは?

濃茶の作法

 

濃茶のお茶椀を出されたら、「これ全部飲むの・・・?」と冷や汗が出てしまうかも。

 

 

大丈夫です。

 

濃茶は普通3人で分けて回し飲みをするので、目安としては、3分の1を飲むようにしてください。

 

では、お濃茶を飲むときの流れを、さらってみましょう。

 

 

お点前さんがお茶をお客様の方に出してくれたら、まずは正客と呼ばれる3人のうちの1番最初にお茶を飲む人が、お茶を取りに行きます。

 

濃茶の作法

 

正客がお茶を自分の左側に置いたのを合図に、濃茶を飲む3人で、一緒に飲みましょう、と軽くお辞儀をします。

 

 

正客さんは、お茶椀をそっと手に取り、お茶をいただきます、という気持ちで軽く目礼した後、お茶椀の正面=顔を右側に2回まわします。

 

一口飲んだところで、お点前さんから「お服加減はいかがでしょうか」と聞かれます。

 

 

「おいしく頂戴しております」
「おいしゅうございます」

 

など、感想を伝えてください。

 

 

ここでは、どんなに濃茶の点て方がまずくても、それを口に出してはなりません!!

 

 

お稽古で、親しい人や先生からのアドバイスなら、多少「薄いわね」とか「点て方が足りない」と言われても仕方ないです。

 

しかし、基本的には「おいしい」というのを前提としています。

 

 

3口を目安に自分の量を飲んだら、一度お茶椀を下に置き、自分が飲んだ部分を、事前に準備していた濡れたお懐紙で拭きます。

 

濃茶の作法

 

回し飲みをするので、礼儀として、次の人へ渡す前に口をつけた部分をきれいにします。

 

この懐紙の折り方や使い方も、一応こうするのがいい、というのはありますが、ここでは省きますね。

 

 

では、次の人へお茶椀を渡しましょう。

 

手から手へ、直接渡します。

 

 

正客さんは、ごちそうさまでした、2番目のお客様は「いただきます」という気持ちでお辞儀をします。

 

同じように、2番目のお客様から3番目のお客様へと渡していきます。

 

 

本来、濃茶は格式が高いとお伝えしたように、お道具もいいものを使っている場合は多いです。

 

とっておきの品を出してくださるお点前さんもいらっしゃるので、3番目のお客様がお茶を飲み終わった後、「お茶椀の拝見を」と正客から声を掛けます。

 

 

3番目のお客様は、お茶椀をきれいにした後、正客へお茶椀を持っていき、正客から2番目→3番目のお客様と、お茶椀を拝見します。

 

 

拝見が終わったら、お点前さんにお返しします。

 

これが、濃茶を飲むときの簡単な流れです。

 

3人で回し飲みをする理由は?

 

ところで「濃茶はなんで、3人で一緒に飲むの?」という質問が聞こえてきそうですね。

 

確かに、回し飲むをするって、ちょっとびっくりしますよね。

 

お茶会などで知らない人と隣り合った場合でも、一緒に回し飲みをします。

 

 

お茶椀が足りないから?洗うのがめんどくさいから?

 

いいえ、違います。

 

 

これは、茶道の基本的な考えでもある、「一期一会」に基づいていると言われています。

 

一期一会とは、その時その場での出会いを大切にという意味。

 

お茶会などでその時にしか出会えない方々と、この時を分かち合いましょう、という仲間意識とでもいいましょうか。

 

 

あなたはあなた、私は私、ではなく、せっかくご一緒できたのですから、お茶でも一緒に飲んで、この場を楽しみましょう、という気持ちが込められています。

 

 

茶道を習っている人は、流派は違えど、元をたどれば同じお茶、仲間意識が芽生えます。

 

さて、濃茶の飲み方までマスターしたところで、今度は濃茶にお勧めの抹茶をご紹介しますね。

濃茶用の抹茶でおすすめなのは?

濃茶の抹茶おすすめ

 

お茶は、伊藤園や永谷園など有名なところがありますが、抹茶で有名なところを知っていますか?

 

私たち、お茶をやっている人たちは、よく買う有名なお抹茶屋さんがあるので、名前だけご紹介しますね。

 

お茶好きな方なら、聞き覚えがあるかもしれません。

 

  • 小山園
  • 一保堂
  • 上林春松
  • 柳桜園

 

などです。

 

 

それぞれのお茶屋さんの中でも、さらにいくつものお濃茶を出しています。

 

興味深いのは、お濃茶それぞれに名前がついていることなんです。

 

 

名前といっても、人の名前のようではなく、例えば。

 

  • 一保堂は「雲門の昔」うんもんのむかし
  • 上林春松は「嘉辰の昔」かしんのむかし

 

など、〜の昔とつくことが多いんです。

 

ちなみに、薄茶の場合は、〜の白、と名前につくことが多いので、今度もしお茶屋さんに行くことがあったら、ちょっと見てみてくださいね。

 

 

そして、それぞれお濃茶の味わいも当然違います。

 

なので、それぞれの流派では、代々の家元が「自分が好きだな〜」と思ったお濃茶を指名することもできるんです。

 

 

例えば、裏千家の現お家元が「このお茶は私の好みだ!」と言って指名したとします。

 

 

すると、そのお茶屋さんは、指名されたお茶に「16代お家元御好(おこのみ)」とつけることができます。

 

家元(過去の家元は第〇〇代とつけます)の名前+御好と印をつけることができるんです。

 

 

茶道を習っている人にとって、お家元や過去代々のお家元は、神的な存在。

 

なので、私達お稽古しているものは、どんなお味が好きなのかしら、と味見をしたくなるわけです。笑。

 

 

結構、茶道もミーハーなところがありますよね。笑。

 

 

初めての方でも飲みやすいかな?と思うのは、小山園の「松花の昔」でしょうか。

 

割と苦味が抑えられているので、甘さを感じながらおいしく飲んでいただけると思います。

 

 

 

それでは、濃茶についていろいろとお伝えしましたので最後にまとめましょう。

 

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濃茶〜まとめ

では、まとめです。

 

 

濃茶はとってもとっても濃い、薄茶の5倍も濃いお茶です。

 

でも濃いだけじゃない、苦味の中の甘さを感じられるお茶です。

 

 

濃茶は、練る、というほど、まったりしたお茶で、お点前の達人になるには、つやととろみを大事にしてください!

 

 

飲むときは3人で回し飲み、一期一会を大切に感じながら。

 

濃茶にはそれぞれ名前がついていて、名が知れたお茶屋さんで買うことができます。

 

濃茶をマスターしたあなたとも、一期一会の出会い。

 

読んでくださって、ありがとうございます。

 

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